一生分の愛を君へ

美帆は俺を低いソファに座らせ、コートをハンガーにかけた。
時刻は15時15分。
紅茶を淹れた美帆の手にはお盆。
紅茶の他にポッキーとDVD。

「DVD見んの?」

美帆はコクリと頷く。

「クリスマスの?」

もう一度頷く。

『やだ?いいでしょ?』

「いいけど。」

うふふと笑うと早速DVDをプレイヤーに入れた。

『電気消す派?』

「いや。特に。」

俺は紅茶の湯気を見ながらそう答えたが、電気が消される。
美帆は俺の隣に座り、乾杯!とカップをぶつけた。

カップの中で紅茶がゆらりと波を立てる。

美帆が持ってきたDVDの内容は、お金にがめついアヒルが意地悪をするがクリスマスの精により過去のお金にがめつくなかった自分を見せられお化けが出てきたり巨人が出てきたり結局自分が死んだあとの悲しい現実を見せられみんなに優しくなる

と言うような、ディズニー映画だった。
可愛らしく面白いものだったが、そんなことより
ふわふわと俺に近づく美帆が気になって少しドキドキしていた。

が、ドキドキするほどの進展もなくDVDが抜き取られた。
『他にも見たいものあるんだけどね。ご飯て言うかパーティーする。』

「…パーティー。」

クリスマス特番が流れ出すテレビの前にしゃがんだままの美帆が振り返る。
『座ってていいよ。』

暗くなった部屋にテレビの明かりが美帆の輪郭を写し出す。
切れ長の猫のような目がきれいに見えた。