一生分の愛を君へ

大人しくついてくる舞を背中に感じながら
バイトに遅刻することを決めた。

さぁてどうしようと思った。
なんにも考えてないぞ。

どこで何を話すんだ。

湿った砂をキシキシと踏みしめながら
背後の舞をちらりと見ると自分の足元か
もしくは俺の足跡を見ながらゆっくりと歩いていた。
可愛かった。

めちゃくちゃ可愛かった。
もう一度前を向き直し
あの階段に座ろう。
と場所を決めた。

散歩中のチワワが
キャンキャンキャン!
と鳴いた。

「何か奢ってやるよ。」
まずは目指した階段を登りきり、自動販売機の前に立った。

彼女は小さな声で、アクエリ
と答える。
ポケットから財布を出し、500円玉を投入。

「男2人つれていい身分だな。」

できるだけ嫌な感じにならないように
余裕があるように意識したけど
少し嫌な感じになってしまった。

ガコンと音をたて
アクエリは落ちてくる。
取り出し口に手を入れると、ひんやりした空気が漂った。

更にひんやりする缶を掴み振り返り渡す。

『あの2人は男とか言う部類じゃないの。』

彼女は缶だけを見て答える。
「何それ中性的な感じなの?」
『違うよ!』

カコンとさっきより気持ちだけ小さな音で
コーヒーが落ちる。