「よっしゃっ!」
彼女が見えなくなったところまで来ると
自然とガッツポーズをした。
玄関を勢いよく開けると、姉がキャアッと声をあげた。
「ねぇ!俺の財布と、ベスパの鍵とって来て!超特急!」
『やだよこれからデートなんだから!急いでんの…』
「早く!」
姉は大袈裟に肩を落とし、『もー!』と言いながらリビングに走った。
何だかんだわがままを聞いてくれる、いい姉だと思う。
バタンとリビングのドアを閉め、細い指に分厚い二つ折り財布とベスパの鍵を挟んだ姉が走ってくる。
大袈裟に急ぐものだから、姉の着ている花柄のマキシワンピがふわんふわんと揺れた。


