一生分の愛を君へ

カランカランと乾いた音が響く。
目線の先には、いつものように木場さんが立っていた。

「ビックリした!久しぶりだね。座りなよ。」

いつものように微笑み、いつものように手招きする。
『木場さん。』
木場さんが
ん?何?

という顔をしたのを確認してから、カウンターに向かって歩いた。
『想生の連絡先、知りませんか?』
「想生?」
『はい』

木場さんの目がぱちくりと動く。

「知ってる知ってる知ってる。今書いてあげるから、待ってて。」

木場さんは紺色のエプロンの胸ポケットから、ボールペンを出し
携帯の恐らく電話帳を確認しながら、海風と書いてある紙のコースターの裏に、想生の番号らしきものを書いた。

「はい。」
木場さんの人差し指と中指に挟まったコースターは
ピンっと私の方を向く。

「君たち、連絡先知らないなんて意外だな。」

木場さんははまた優しく笑った。

『ありがとう。』
それを受け取り、小走りで車に戻った。