一生分の愛を君へ

海に着くと、もう夕方になっていた。
真人に会った深夜が、ずっと昔のように感じる。

車から降り、夕焼けで赤く染まった砂浜を見渡す。

『…いないか…。』

そりゃそうだ。そんなドラマのようにいくわけがない。

『期待しすぎた!』

それでも私は、諦めるわけにはいかなかった。

勢いのついた今日、今でないと、もう二度と伝えられないと思った。

駆け足で車に戻りエンジンをかける。
思いっきりアクセルを踏んで海風に向かった。

海風の前までつくと、すぐにベスパを探す。

やっぱり、そこにはいないみたいだった。
入り口のガジュマルが、大きな葉っぱをゆらゆらと揺らしていた。


ゆらゆら
ゆらゆら
ゆらゆら

『ゆらゆら…』

ちっちっちっびゅん
ちっちっちっびゅん

『ちっちっちっびゅん。』
これは、あの日に私が刻んだリズム。

ゆらゆらゆら

のリズムに合わせて
扉を開けた。