一生分の愛を君へ


ちっちっちっびゅん
ちっちっちっびゅん
ちっちっちっびゅん

ぼーっと間近のガードレールでリズムを刻んでいると
段々眠気が襲ってきた。


「お前今なに思ってる?」

私は答えた。

『ちっちっちっびゅん…』
「…。」

想生と私を乗せたベスパはそのまま走り続け
ガードレールの途切れた場所に停まった。

そこには階段があり
下に砂浜が広がっている。
『ここ…』

「家近いから。ていうかそこの奥。」

想生はそこと言う言葉に合わせて小さな道を指差した
しかし、私が言いたいのは家の場所がどうとかそういうことじゃなかった。

ー会いたくなんてなかったよー

確かに私は

ここで彼にそう言ったんだ。

「階段座っといて!そこから動くなよ。」

またギシッと言う音をたてて私はベスパから降りる。

想生は
さっき言ったそこに向かった。


気温が低くて
心地がいい。

私は鞄からタオルを出して首に巻き
階段に腰を掛けた。

あー…初夏だなぁ…

と思ったのと同時に
私は膝に顔を埋め

眠ってしまった。