「おい。」
ドクンと心臓が大きくなり私の頭は一瞬覚醒する。
声の主の方を見ると
想生が怪訝な顔で私を見ている。
よっぽどビックリした顔をしていたんだろう
想生は目を大きく見開き
「大丈夫?」
と、辛そうな顔で身を乗り出した。
『大丈夫。』
真人の笑い声が聞こえる。
『大丈夫って何が?』
想生の指がピクリと動く
『何が?大丈夫?』
木場さんがドリンクを持ってテーブルに近づく
『…大丈夫だよ。』
乗り出した想生の体が後ろに下がり、大きなため息をついた。
「そろそろ帰るわ。明日も学校だし。」
ぐわんぐわんと目眩がしそうな景色の中
想生は立ち上がり、お財布からお金を出した。
見覚えのある、porterの財布が、骨ばんだ大きな手の中で動いているのを
私はじっと見つめていた。


