9月になっても、昼間は暑い日が続いた。

私は変わらない生活を送り、岳の月命日にだけは
ひとりで泣くのだ。

でも、何かが変わっていた。
ふとした時に思い出す、海や坂道。バイクの音。

紫陽花。

ハッとして岳のことを考えても
涙が出ないこてがあった。

岳がいなくなりそうで
怖くなる。


「もう岳はいないよ」

そう言った真人を
一度だけ泣いて殴った。

そんなことは分かっている。