一生分の愛を君へ

坂を登り切った場所にあったのは
色とりどりの紫陽花。


「いいだろ?」

『綺麗…』

雨に濡れた紫陽花たちは
花びらを凛々と輝かせ、風に揺れていた。


「俺ここすげぇ好き。
しかも見せたがりだからさ、連れてきた。」


無邪気に笑う想生の八重歯を見ながら
私は少しぼおっとする。


その視線に気付き
「俺に見とれんな紫陽花見ろ」
と言った想生は耳まで真っ赤だ。


『見知らぬ女をよく連れてくる気になったね。』


「見知らぬ男によくついてきたね。」


確かに私は警戒心がなさすぎた。

でも何となく、大丈夫だと分かったんだ。


「何笑ってんの?」


『何でもない。
いやーいいもん見た!ありがとう!
そろそろ帰るよ。』


分かったと、優しい顔で頷きエンジンをかける想生に私はもう一度お礼を言った。


うっすらと暗くなる海の見える町を焼き付けるように
私はずーっと景色を見つめた。