「死ぬのかと思った。」
突然横から聞こえた声に私はビクッとして肩をあげた。
「くらーい不細工な顔してたからさ。」
隣にいた男は自身の着ているポロシャツの裾をひっぱり砂を蹴った。
随分と背の高い。綺麗な顔をした男だ。
「失恋?最後ニヤついてたけど、復讐でも思いついた?」
男はハハッと愉快そうに笑った。
何こいつ。感じ悪い。
『初対面のくせに。余計なお世話。』
私はイライラしながら海を見て言った。
『死のうが生きようが関係ないでしょ』
ふーん。男は一瞬つまらなそうにすると、ひょいっと目の前に顔を出した。
「初めまして。山野想生(ヤマノ ソウ)です。」
『は?』
「名前くらい言えよ。無愛想だな。」
初対面のその男は、私をにらむ。