花見当日、何となく早起きをして。冷凍していたカツを揚げて。
パンに挟んでタッパに詰めた。

更にそれを鞄に入れて持つと、真人の車を待ちに外に出た。
空気がほんのり肌寒くて、ロンティーだけで出たことを後悔する。
だけど春の匂いが鼻をくすぐって、何だか気持ちがよかったから。

上着を諦めて外で待つことにした。

待ち合わせの10時ピッタリに真人の車はここに来るだろう。

私は庭先の花たちに集中した。


真人の車が到着して、私は助手席に乗り込んだ。

何となく気まずい空気が流れてて。
『おはよう』の後の言葉が浮かばなかった。

もういいや。真人に任せよう。と、窓の外の桜を見つめる。

「ブレーキランプ5回踏んだけど?」


『は?』


車内には
私の好きなドリカムが流れていた。


『あはは。私愛されてんねぇ。』

いつものように、フンワリとした真人の笑顔で
私は心を開いた。