喋らないキミへの幸せ

向かった先は保健室だ。



「ん?あれ、ミカちゃんじゃ~ん。」



『どうも。来ちゃいました。早乙女先生』



屋上でも良かったけどね。なんとなく。



「いらっしゃい。それより名前でいいって言ったのにー。」



『馴れなくて』



こんな私でも優しくしてくれるなんてありがたい。



「ゆっくりしていってね~。」



『はい。』



「その髪、綺麗ね。」



突然そんなことを言われた。



『そうですかね。まぁ一応気に入ってますけど』



実は気に入ってたりする。トラウマでもあるけど…。



「うん、綺麗。これ地毛なの?」



『はい。生まれた時から。』



「そうなんだ~。ハーフなの?」



・・・



『覚えてないんです。私が4歳の時に親が事故で亡くなってしまって。4歳で、何も覚えてないなんてほんとばかですよね。』