貴女は信じますか?

実際に付き合ってみると和美は本当に良い子だった。勿論同じ職場だったのである程度の性格は判っていたが、プライベートではそれ以上に女性として文句の付けようが無かった、自分で努力すると言った言葉通り、いやそれ以上に健吾に対し献身的であった。
健吾は夏美に対し申し訳無い気持ちはあったものの次第に和美に惹かれていった。そしてそんな二人が特別な関係になるのにそう時間は掛からなかった。
「ねえ」
「ん、何だい?」
先程までの余韻に浸りながら健吾が煙草を燻らせていると和美が甘えるように話し掛けた。
「健吾さんて一人暮らしじゃない?」
「ああ、そうだよ。今の会社に入ってからずっとね」
「普段食事とかどうしてるの?」
「ん、まあ買ってきたり自炊は・・・しないな。後は外に食べに行ったりとか適当」
「今度さ、作りに行っても良い?私結構料理には自信があるんだよ」
「へえ、そりゃいいな、好い加減出来合いの物にも飽きてたし、今度頼むよ」
そしてこの会話があの不思議な出来事の始まりだった。