「どうしたの?飲み過ぎ?」
「あ、いやごめん。ちょっと考え事をしてた」
土曜日の午後、少し遅めの昼食を取っている時に和美がそう言った。今日は和美に誘われ朝から都内の水族館に来ていた。
「昨日も皆で飲みにでも行ったのかと思った」
「ああ、行ったけど軽くだぜ」
「やっぱり行ったんだ?しかし男の人って本当にお酒好きだよね」
神田は少々呆れ顔だった。
「ああ、まあ一種のコミュニケーションの場だからな、それに夕飯の代わりだし」
「でも水族館なんて久し振りだったけど、大人になってから行くのも面白いね、こんなに良いとこだったらもっと早く来れば良かった」
和美は午前中に行った水族館にとても興奮していた。どちらかと言えば大人しかった夏美に比べ活動的な和美の存在が今の健吾には楽だった。