「着物!?なぜっ!?普通の服でいいじゃないの!」
「だめなの!いいから、いらっしゃい!」
「はい…。あぁ…」
私は今からお母さんに着物を着せてもらうため和室にいる。
まぁ、今日は、いよいよ父から命令された『あってもらいたい人』と会う日。
朝からお母さんに叩き起こされ、今に至る。
「よし!できた。さぁ、琴葉いくわよ。」「今行く!」
なんか、緊張するというか…。でも、なぜ?着物?
着物を着るって私が想像するのは世に言うドラマでも見たことのある『お見合い』だ。なんて思いながら車へ乗った。15分ほど、車を走らせると、
着いた場所は大きな立派なお屋敷だ。そのお屋敷の中へはいると、長い廊下を歩いていく。そして、1つの和室に着いた。
「入ります。」「どうぞ。お入りください。」
入ると、目を疑った。目の前に座っている男性が目に入り驚いた。
その男性も私をみて目を見開いている。
「「あっ…!」」見事にハモった。いや、驚きを隠せない。
だって、私の会社の社長で夏実が言っていた『無表情王子』だし、
私が残業してたとき、コーヒーをくれたイケメン君。
ヤバイっ!なぜっ?彼も『どうして?』と言っているかのような表情だ。
「なんだ、知り合いか?なら、早い。君たちには結婚してもらうよ。」
「えっ…?い、いま何て?」結婚?誰と?まさか…この人と!?
「ちょ、親父!なに…いってんだよ!」
「お前はこうでもしないと結婚しないだろ?嫁にも後継ぎが必要だ。
だから、結婚させるといっている。なぁ?古里社長。」
「はい。だから、琴葉。お前は五十嵐くんと婚約をしてもらうよ。」
「ちょっと、待って、お父さん!私、なにがなんだか…」
「じゃぁ、私たちは詳しく話を進めるから帰らせてもらうよ。さぁ、行きましょう。」
「はい。じゃぁ、二人は話をしなさい。詳しくはまた話すよ。」
「えっ…ちょ、ちょっと…」
結婚って強引すぎるよ…。世に言う強引的な結婚って私は思うよ。
そう、これは好きでもない相手、なにも分かり合えてないまま結婚する
『政略結婚』と言うもの。私にはないだろうと思ってたけどまさか…ね…?

「おい。お前はどうなんだ。俺は何をいっても親父はきかない。」
「わ、私は…。お互い今日、この場で知ったんですよね…?」
「あぁ。」やっぱり…。でも、本当に勝手だよ…。親の意見で結婚させられるなんて。許せないよ。でも、いまは何をいっても聞いてくれないよね…。