廉くんが触れた腕を自分で触ってみるとなんか、変な感じがした。
あまり話さない廉くんだけど、優しいんだなって。
って気持ちもないのになに思ってんだろう。私。

私たちには最初から『愛する』って気持ちなどないのにね。
なにもできない自分が悔しい。悔しくて、自分が改めて嫌いになる。

自分がなんでもできたなら、廉くんは違ったのかな…?とか。
そう思うと苦しい。胸が苦しい。

泣くことなんてないのに。理由なんてないのにね。
その日は自分の部屋で泣いた。