ここでない場所の今でない時空(とき)。


サンフラド王国と呼ばれる、それはそれは華やかな王国がありました。

当代の国王は、非常に聡明で民からの人気も高く、信頼の厚い王でした。

民たちは、毎年彼の誕生日に、この王国の花とされる向日葵の花を国中に飾り「ひまわり祭」を行い、王の誕生日を祝いました。
また、そんな彼の王妃もとても民から愛され、どんな身分の人に対しても優しく手を差し伸べる人でした。
そんな彼女は民から「慈愛の花妃」と呼ばれていました。

そして2人の間には可愛らしい娘が1人。
もちろん彼女も幼いながらも民に愛された存在でした。


しかし、そんな平和で幸せに満ちた国に暗黒な陰がやって来ました。

ある日、いつものように王宮の庭で向日葵の花を愛でていた王妃が、突然お倒れになったのでした。
すぐに彼女の寝室へ運ばれ、王国一の名医が彼女の元へと呼ばれました。

しかし、呼ばれた名医の誰もが王妃は不治の病であり、もう永くはないと告げました。