ある夜のこと。

月の出ていない暗闇のなかに小さな灯りが灯りました。
そしてその灯りはしだいに大きくなってゆきました。

その灯りが暗い夜空を真っ赤に染めた時、辺りには大きな音が響き渡りました。



翌朝、朝日に照らされたその場所には、彼の立派な家は跡形なく燃え落ち、真っ黒な瓦礫の山があるだけでした。


そしてその中には朝日を浴びて輝くあの奇跡の華がありました。



燃える火の中で焼けることなく、咲いた時のままの美しさで…。

そしてその傍らには青い蕾を持つ薔薇の花がもう一輪朝日を浴びて輝いていました。