しかし、皇子の胸を貫いたのは、その剣ではありませんでした。
実際に皇子を貫いたのは、剣に遅れる様につき出された槍でした。
そして皇子を貫こうとしたその剣が貫いたのは彼を庇い突き飛ばした王女の心臓でした。
そんな皇子が最期に見たものは自分を貫く槍。
そして先程まで自分が立っていた場所で血の海に身を沈める妻の姿でした。
セーブル帝国の存続と引き換えに、2人の若き夫婦の命が失われたのです。
この後にセーブル帝国は国土の半分を失ったものの、帝国は再び栄える事となりました。
しかし2人の遺体は敵軍の手に堕ち、その王墓には空の棺が納められているのでした。
そして、あの戦の時も王女が身に着けていたあのペンダントが、非常に希少な花で作られたものである事から、様々な人の手に渡る事となりました。
そしてそれは今もどこかの王族の手にあると吟遊詩人の詩によって紡がれている。

