――私は今どこに向かっているのだろう。

ただただ目的地もなく歩き続けている。

もうすでに周りの風景は自分の見知ったものではなく、どこか懐かしさを感じさせるような田舎町のものとなっている。
生まれてからずっと都心で育った私が来たことがあるはずのない場所。

――ここはどこなのだろう…。

もう何度目になるかも分からない問いをまた心の中で繰り返す。
それでも何故か歩く足は止まらない。