川原では何やら白が騒いでいる。

しかし先ほどまでの雑音に雨の音も加わり益々声が聞き取り辛い。

「ヤバ…!!
 上流…………水嵩………一気に………!!!
 土手………って滑る………!!」

途切れ途切れの彼女の声。
そこで私もようやく気がついた。

今まで私達の居る場所はそうでなかったが、ずっと前から上流では雨が降っていたのだ。

急に水嵩が増える。

鉄砲水だ。

そして彼女が今登ろうとしている土手は、さっきの霙が原因で凍りついているのだ。

迫る水嵩に白が早く登ろうと焦る程に、足が滑り上手く登ることが出来ない。