そんな事を考えているうちに、どうやら土手を降りきった白が何かを叫んでいた。

距離があるのと川の音で上手く聞き取れなかった私は聞き返す。


「何ー!?
 聞こえなかったからもう一回言ってー!!」

すると今度は先ほどよりもはるかに大きな声が聞こえた。

「私もう少し上流も探して見るから、白悠里(さゆり)はその遊歩道を上に向かってー!!」

どうやらまだ見つからないらしい。

「もうこれ以上危ないってー!!」

私も負けないような大声で叫ぶ。


幸いこの周囲に民家は無く、一番近い家まででも1キロメートルは離れていた。

そのため、どれだけ大声で会話しようとも近所迷惑にはならなかった。