朝、通りの騒がしさで紅莉(あかり)は碧(あお)の訃報を知った。


紅莉と碧は家が近かったことから兄弟のように育ってきた。

いつしか赤莉は碧に恋するようになり、いつか想いを伝えるのだと親友である紫音に話していた。


しかしある日、そんな碧の元にこの町の領主である桜木の娘との縁談が舞い込んだ。

容姿端麗で頭もいい碧を知った桜木の娘の一目惚れだったが、彼の両親や親戚たちは碧にこの縁談を勧めた。

そして最後には彼自身もそれに同意し、彼は桜木家の婿養子となった。


それを知った赤莉は祝言の前にせめて自分の想いだけ告げることを決めたのだった。


ーーー私はあなたをずっと好きでした。


と、その一言を。

そしてもしも…もしもそれで彼が自分を受け入れてくれたらと…。