眠り姫

「……みゅう姉、それ重いでしょ?部屋まで運んであげるよ。」

夢人……。よく、気がついたねぇ。

「ありがとう。じゃあ、甘えようかな?」

「ん。貸して?」

そう言って私のカバンをヒョイっと持つ。

うわぁ、凄い。私、重たくてずっと置いたり持ったりしてたのに、軽々と運んじゃった。

「あ、夢人。ごめんね?重たかったでしょう?」

「……少しね。辞書、入ってるの?」

「うん。課題で使うから……。持って帰ってきたの。」

そう言って私はカバンの中から辞書を取り出そうとした、その瞬間。

ふわっと暖かい感触に包まれた。

暖かさの正体は夢人だった。私を後ろから抱きしめてる!?

「夢人……?は、離れて?」

「…いや。今日一日我慢したし。今くらい、いいじゃん。」

そんな風に囁かれたら、いいって言うしかないじゃん。

「じゃ、じゃあ……、少しだけだよ?」

「……夢優奈…。」

!?

い、いま[夢優奈]って!?や、やばい。顔が熱い……。

「……なんで、赤くなってんの?」

と、ニヤニヤしながらわざとらしく聞いてくる。

いっ……いじわるだ!!

そんなことを思っていると。

「おい、二人とも、おやつのケー……」

ガチャっと入ってきた皐月兄さんは凄くそれはそれはもっっっもすごぉーーーーく、驚きを隠せない表情で私達を見ていた。