今日からお嬢様の執事でございます。













あたしは、放課後必ず家の近くの和食屋さんに行く。
そこで毎日働いている。
あたしの家は、お金があまりある方ではない。
だから、家族みんなで働いている。

辛くても、忙しくても、家族と一緒なら…
友達とまた会えるなら…
あたしは、頑張れる。



「由莉愛ちゃん!いつもありがとうね」

「いえいえ!こちらこそバイト代ありがとうございます!助かります!」

「いいのよ、由莉愛ちゃんすっごく働いてくれてるから」



店のおじさんとおばさんは、とても優しくて温かい。
あたしは、厨房でも働けるようにこの店のメニューは大体作れるように練習した。
その時も、あたしを手伝ってくれた。



バイトが終わって、家に帰る。
最初に家に帰るのはいつもあたし。
その次にお母さん。
そしてお父さん。
あたしは、お母さんとお父さんのために夕食を作る。
家事は自分でやるようにしているけど、料理は好きだから。


「由莉愛、美味しい」

「ほんと?良かった!」

「由莉愛も疲れてるんだから、休んでていいのよ?」

「あたしなら平気だから!お母さんもお父さんもお疲れ様!」

「由莉愛は優しい子ね。人を思いやる心を持っている人は必ず恩が返ってくるわ」

「そうだな。由莉愛、どんなに辛くても笑顔でいるんだぞ」

「それ、お父さんの口癖だよね!」

「いつも笑顔でいる人には、自然と人が集まってくるものだ」

「あたしは、お父さんとお母さんと一緒なら何でも楽しいよ?」



そう言うと、お父さんとお母さんはあたしを優しく抱き締めた。
あたしも2人を抱き締めた。
…あったかい。