「…由莉愛、もういいよ」
「ありがとう、夏乃!」
夏乃はいつもあたしに優しくて、頼りになるお姉ちゃんみたい。
「夏乃の方がずっと女らしいな」
「えっ!?…そうかなぁ?」
「…なによ、やる気?」
「…それに、お前重くて漕ぐの大変だったっつーの!」
…カッチーン。
あたしは一瞬で頭に血が昇った。
さっきから、失礼なんだけど!!
あたしは萊人の背後に回り、首をガシッと腕で挟んだ。
「いてぇよ!!」
「あんたが失礼なこと言うからでしょー!?」
あたしは力を強めた。
クラスメイトたちは、あたしたちを盛り上げた。
バカみたいなことしてるけど、こういう生活が楽しい。
「分かったよ!悪かった!!」
「最初からそう言えばいいのに」
あたしは萊人を解放した。
すると、萊人はゲホゲホと咳き込んだ。
「由莉愛って、可愛い顔してすごいよねぇ」
「何言ってんの、夏乃。あたしより夏乃の方が全然可愛いじゃん」
「あぁ、ほんとだな」
「…あんた、もう一回やられたいの?」
「じょ、冗談に決まってんだろ!」
あたしは焦ってる萊人が面白かった。
夏乃と顔を見合わせて、笑った。
萊人は相変わらず、口が悪いけど自転車に乗せてくれたりして優しい。
…もう、素直じゃないなぁ。

