あたしは教室に入ると、夏乃が駆け寄って来た。
親友の柏木 夏乃-Natuno Kashiwagi-。
「由莉愛!今日もギリギリだよー?」
「間に合えばいいの、いいの!」
「何がいいの、いいの!…だよ!誰のおかげで間に合ったと思ってんだよ!」
「あっ、ご苦労様でーす!」
「…ったく、乗せんじゃなかったな!」
萊人はキッとあたしを睨んだ。
あたしも負けずに睨み返す。
細かいことは気にしないの!
「…由莉愛、髪ヒドいよー?直してこなかったの?」
「…うん。時間なかったから」
「…もう、由莉愛は可愛いんだから。もっと気をつけないと!」
そう言って、夏乃はポケットから櫛を取り出してあたしの髪を直してくれた。
…夏乃、優しい〜!
「…いいなぁ、由莉愛の髪。綺麗でサラサラ!」
「…そう?」
「…お前って、ほんとに女子力ねぇよなー」
「うるさいな、あんたは黙ってて」
そう言って、あたしは萊人を睨む。
すると、萊人も睨み返してきた。

