「由莉愛様は東条グループとは無関係です」
「…黒宮!」
黒宮があたしの前に立ちはだかっていた。
「…でも、同じ名字じゃない」
「同じ名字の方は日本中にたくさんいらっしゃいます。偶然です」
「…澪人様がそこまで仰るなら」
…ふぅ、良かったぁ。
「…それにしても、あなた気にくわないのよ」
「…え?」
杏奈がムスッとした顔であたしを睨んできた。
…なんなのよ、またあんた!?
「Sランク執事の澪人様が付いてるからっていい気になったんじゃないわよ!」
「別にあたしはいい気になんかなってないわよ!」
「澪人様は昔、茉莉香様の…!」
「お止めください、杏奈様」
…黒宮?
杏奈が何か言いかけたが、黒宮が遮った。
…なんなの、茉莉香様って。
…黒宮は何か隠してる。
「…黒宮、全部説明して」
「…かしこまりました」
あたしはまだこの時、知らなかった。
強敵が潜んでいることを……

