んー…
…あれ?もう朝だ。

あたしはまだ眠い瞼を擦りながら起き上がる。
…あっ、いい匂い!



「由莉愛様、おはようございます」

「お、おはよう。…早いね」

「由莉愛様の執事ですから」

「…そっか」



あたしは椅子に座り、黒宮が作ってくれた朝食を食べる。
朝から豪華な食事だ。
これ全部作っちゃうなんて、すごい…!



「ん〜!美味しいー!!」

「ありがとうございます」


…そういえば、この部屋昨日までは汚かったのに。
今は掃除されてて、とても綺麗。



「…もしかして、掃除してくれたの?」

「はい。朝の内に済ませておきましたのでご安心下さい」

「言ってくれればあたしも手伝ったのに」

「それは出来ません。由莉愛様に手伝わせてしまうなど…」



…執事って大変だなぁ。
辞めたいって思ったことないのかなぁ?
あたしだったらすぐ辞めてるな。
…って、女は執事にはなれないか。



朝食も終え、制服に着替える。
いつもの癖で髪は一本縛り。
ノーメイク。
…面倒くさいから、いいよね!



「黒宮、そろそろ行こうよ。ここから学校まで遠いから」

「…お待ちください、由莉愛様」

「…なに?」

「由莉愛様、髪を下ろしてはいかがでしょうか?それと、メイクは私がいたしますので」

「えっ!?い、いいよ!あたしはこのままの方が落ち着くの!」

「しかし、後継者に相応しい女性になるためには日頃から心掛けることが大事かと…」



そう言って、あたしを椅子に座らせようとする。
…もう、しつこいなぁ。
あたしなんかにメイクしたって、綺麗にならないんだから!



「あたし、別にレディー目指してるわけじゃないから!…行くから」

「…分かりました」



黒宮は少し悲しい顔をしたのが見えたけど、あたしには関係ない。
…レディーにあたしなんかがなれるとでも思ってるの?
無理に決まってんじゃん……