「由莉愛様、お部屋へどうぞ」

「うん」



中に入ると、思ったより広い。
…でも、やっぱりボロ。



「由莉愛様もLUNARに昇格されれば、もっと快適な部屋で暮らすことができます」

「うーん、でもこれはこれで過ごしやすいけど」



あたしはベッドに寝転んだ。
ベッドがあるだけいいじゃん。
あたしは毎日、敷き布団だからね!



「浴室は奥に、手前がお手洗いでございます」

「ほーい」



…そういえば、あたしこの人のことなんて呼べばいいんだろう?
…執事とか呼び方に困る。



「あの、さ…」

「はい」

「あたし、あんたのことなんて呼べばいい?」


…なんか、恥ずかしい。
あたしは、慌てて目を反らす。
すると、執事はあたしに近づいてきた。


「由莉愛様がお好きに呼んでくださって構いません」

「ダメ!…それじゃ、あたしが困るの…」

「では…黒宮で構いません」

「…呼び捨てでいいの?」

「はい。執事は大抵名字で呼ばれますから」

「そうなんだ…」



…ってことは、やっぱりあのセクシーお姉さんと変態執事は付き合ってるのか!?
名前で呼び合ってたし…