「…やっば!遅刻する〜!」



あたしは全速力で学校へ向かう。
髪もセットし忘れたし、ノーメイク。
女子とは思えない程の女子力の無さ。
それでもあたしは気にしない。
…だって、そっちの方があたしらしいもん。



「…遅刻すっぞ、カメ!」


後ろから声が聞こえたかと思ったら、あたしを自転車が追い越した。
…あー!



「…萊人!ってか、カメじゃないし!」

「走るの遅ぇんだよ、カメ!」

「自転車に乗ってんだから、そっちが速いに決まってんでしょ!バカ!」

「お前にバカって言われたくねーよ!」



朝からケンカするのはいつものこと。
自転車に乗って来たのは、黒宮 萊人-Raito Kuromiya-。
あたしの同級生。
まぁ、仲が良い友達の1人かな。