「…全部、話して」

「はい。由莉愛様のお父様、竜次様は東条グループの後継者でしたが、東条の名を捨て、出て行かれました」

「…待って、東条グループってあの超有名な大企業だろ!?」

「はい。ですから、竜次様が亡くなられた今、東条 修次様の血を引き継がれている由莉愛様が後継者候補と上がっているのです」

「えぇ!?じゃあ、由莉愛はお嬢様だったってこと!?」

「ちょっと、夏乃!あたしはお嬢様なんかじゃないから!」



…冗談じゃない。
お嬢様なんかなりたくない!
今の暮らしが1番幸せなの!



「よって、由莉愛様には東条グループの後継者として相応しい女性になって頂くために聖蘭女学園に転入していただきます」

「えっ!?聖蘭女学園って、お嬢様学校で超名門のところじゃん!」

「はい。そして、私と弟の萊人は代々東条グループの執事として仕える家系です」

「執事!?ってか、弟!?」

「でも、どうして萊人くんは…」

「萊人も以前は執事でした。しかし、直ぐに辞めてしまいました」

「俺のことはいいんだよ!」

「…相変わらずだな、その口調は」

「んだと!?」

「ちょっと!萊人くん、やめて!」



萊人はお兄さんに飛びかかろうとした。
それを夏乃が止める。

この2人が兄弟ねぇ…
全くの正反対だね。

…それにしても、あたしがいないところで勝手に色々なこと決められて。
…あたしの立場なんかどうでもいいって感じね。
…そんなの、いいわけないじゃん!