あたしは、バイトが終わり夏乃の家に帰ろうした時だった。
店の前に黒いタキシード姿の若い男の人が立っていた。
…誰だろう?
あたしは気になったけど、歩き出した。
すると、男の人はあたしに近づいて来た。
…な、何!?
「東条 由莉愛様ですね」
「そうですけど…」
その人は、凛々しくて、背が高くて、カッコよかった。
…って、そんなこと気にしてる場合じゃなーい!
「私、黒宮 澪人と申します。本日から由莉愛お嬢様の執事でございます」
「…はい?」
…この人、さっきから何意味の分からないことばっか言ってんの?
お嬢様とか、執事とか、あたしには無縁な言葉ばかり。
「…あの、人違いだと思います」
「いえ、由莉愛様で間違いありません。…もしかして、ご存知なかったのですか!?」
「…どういう意味?」
あたしは男の人が何か知っていると思った。
何か秘密でもあるの…?
「…由莉愛様のお父様、竜次様は東条 修次様の息子なのです」
「東条 修次…?」
「東条グループの会長でございます」
「えぇ!?」
…そんなこと、聞いたことないよ。
東条グループって、あの世界的に有名な大企業でしょ!?
お父さんがそんなすごい人だったなんて…

