恋するキオク





すぐ隣にあった誰もいない教室に、私をつれて入っていく圭吾。

きれいに並んだ机の天板が陽に反射すると、空間に漂う細かな埃はキラキラと光って見えて。

私の体には、圭吾に抱えられた時の感触がまだしっかりと残っていた。



すぐ目の前にある着崩れた制服にも、指先で触れることさえできないけど

ただその後ろ姿を見ているだけで、こんなにも愛しく感じて。

私は、圭吾を焦がれてしまう。




「圭吾、私…」


「オレに関わるなよ。前に…そう言っただろ」


「……圭吾」



囁くような圭吾の声が響くと、教室内の静けさは一層強調された。

ドクン、ドクン…

耳の奥にまで響いてくる、胸の音。



沈んでいくはずの太陽は、その姿を消す瞬間が近づくほどに大きく強く輝く。

眩しくて、辛くて。

私の瞼を、
どんどん緩ませるから……



「…でも、昨日までそんなこと」


「疲れるんだって!」


「…っ」



強い口調に、思わず手の平を強く握りしめて震えを抑えて。

潤む涙をぐっと堪えながら、唇を噛み締めて圭吾を見上げた。



逆光に陰る圭吾の強い視線も、絶対に逸らせない。

だってもう無理だもん。

私は圭吾が……



「あんな大声でオレの名前呼んで、省吾に見つかったらどうするんだよ。お前がオレに関わろうとするたびに、省吾は……。
お前といると、辛いんだよ…」



圭吾の切ない声と、淋しい表情に

私の胸からは、抑えきれないほどの想いが溢れてくる。



伝わらないままなんて、やっぱり悲しいから。



「イヤだよ…
関わらないなんて絶対イヤ!」


「野崎……」