恋するキオク





「圭吾くん…」



もう、言葉にできないくらい胸がいっぱいになる。

どうしよう、どうしよう……



「圭吾でいいよ」



っ……

遠くを見たままそう言って立ち上がった圭吾に、月の光が降り注ぐ。

それがすごく眩しくて。



「……圭吾」



私は小さく呟いた。



時間を感じなくさせるような空気。

このまま、本当に全てが止まってくれてもいいかもしれない。

でも



「野崎…、迎えだ」


「迎え……?」



圭吾の視線の先に目をやると、公園の入り口からこっちに歩いてくる省吾が見えた。



「省吾……」



二コッと笑いながら手を振って、省吾は私と圭吾の前まで来るとその手で私の頬に触れる。



「出し物の打ち合わせ?陽奈のクラスは結構力入れてるんだな。期待してるよ」


「う…ん……」



ぎこちない返事をする私の手を少し強引に自分の方へ引っ張ると、省吾は圭吾を見ながら言葉を続けて。



「そうだ、圭吾にはちゃんと紹介してなかったよな。お前と同じクラスのこの子、野崎陽奈。オレの大事な彼女だから。これからもいろいろよろしく頼むよ」



握られる手に力が伝わってくる。

笑いながらも、鋭く見据える省吾の目に、圭吾は何も返さず鞄を持ち上げた。

そしてタイミング良く聞こえてくる、夜に通る明るい声。



「圭吾〜」



茜さんたち……