圭吾は私の腕をつかんで、すぐそばにある公園の中へと引っ張っていった。
「また思い出し泣きかよ」
私をベンチに座らせた圭吾は、ため息をつきながら隣に座る。
泣いてる原因が、またあのストーリーのせいだと思ってるみたい。
でも違うの。
「あれは作り話だろ。いつまでも引きずるな」
違う、そうじゃない。
でもなんて説明すればいいか分からない。
ただ…、気がつくと圭吾がいる所へ来たくなる。
「あのさ…、愛することは時に偽ることでもあるってことが言いたいんだと思うよ、あの話」
「え……?」
圭吾はこっちも見ないまま話し始めた。
「ずっと一緒にいることとかさ、好きだって伝えることだけが相手を想うことじゃないだろ。その人のために自分の気持ちを抑えることも、嘘をつくことも、あってもおかしくないってことだよ」
そう言って隣の私を見下ろす圭吾。
まだ光が歪んで、はっきりとは見えないけど……震えるくらい、惹かれそうになる。
「私は…、私がユリアなら伝えたもん。カイのことが好きだって、カイと一緒にいたいって」
圭吾の話に応えるように言葉を返した。
でも……、なんとなく物語の話だけじゃないみたいな気がして。
「そう?オレがカイなら言わないけど。それが原因でユリアまで傷つけるかもしれないなら……。オレなら言わない」
静かな星空。
真っすぐな瞳を見つめてると、どんどん辛くなる。
このままじゃホントに……
私は話を逸らすように涙を拭いた。
「あっ…そういえばね、クラスの女の子たちが圭吾くんのことカッコいいねーとか言ってた。なんか調子いいよね、最初はみんな圭吾くんに近づこうとしなかったくせに。……なんか。
でも、良かったね…。みんなと仲良くなれて」
私が圭吾を見上げると、圭吾もじっとこっちを見つめてきた。
重なった視線が、心臓の音をどんどん大きくして
「別にオレ、みんなと仲良くなりたくてやってるんじゃないよ」
この時間に終わりが来ないことを、身体全体が求めてた。

