もうずいぶん暗くなった西の空。
「オレそろそろ行くけど。あいつらのこと待たせてるし」
「あ、ごめん。私も帰るよ」
空気を変えるように帰り支度を始めた圭吾の横で、私も慌てて椅子を片付けた。
今何時だろう。
なんか、あっという間だった……
「あの、あいつらって……」
「お前も公園で会っただろ。オレここに来た後はいつもあいつらと一緒に居るから」
「ふ〜ん……そうなんだ」
いつも、一緒に居るんだって。
澄まして言う圭吾の背中に、ちょっとだけ気を引かれた。
「どうかした」
「あ、ううん。仲良しなんだね、あの人たちと」
やだ…
なんか私、嫉妬してる?
振り返った圭吾に、変に甘えたくなる。
「ねぇ、なんかさ…私は圭吾くんて呼ぶのに、そのお前お前って……嫌かも」
「……」
目を丸くして見下ろす圭吾。
私はその視線に目を合わすこともできなくて、ドキドキしながら下を向いた。
何…、言っちゃってるんだろう。
自分の言葉に驚いた。
静かな部屋。
長い沈黙が耐えられなくて。
変なこと、言わなきゃ良かった。
足が震えてくるのがわかって、指先の感覚までなくなって。
まずいな、こんなの……
そして黙ったまま動かなくなった私に、やがて圭吾は小さく言葉を吐いた。
「じゃあ……陽奈?」
ドクンっ…
息が、止まる。
圭吾くん…
なんだろう、このドキドキ。
なんでこんなに熱いんだろう。
私がゆっくりと顔を上げると、圭吾はうっすらと笑いながら言った。
「……冗談だよ、野崎」
開いた扉の向こうに消える背中。
後を追うことにすら、後ろめたさを感じる。
私、変だ……

