恋するキオク






ーーーーーー3月





「それで?省吾くんはどうしてる」


「うん、留学決まったって。指の調子もいいし、このまましばらくはあっちにいるらしい。
でも両親は寂しい気持ちもあるみたいで、オレにまでたまには顔出せって言ってるけど…」


「はははっ」




公園の木には新しい緑が芽吹いて、吹き込む風には春の香りを感じる。




「陽奈ちゃんたちもそろそろ帰ってくる頃だな。コーヒーでも湧かしておくか」


「あー、沢さん。陽奈はホットミルクにしとけって言ってるだろ」


「おぉ、そうでした!」




あれからオレは、ちゃんと高校にも通って、沢さんの店でバイトをしながら居候。

あと一年で卒業を迎えたら、ここで小さな子供たちにピアノを教えることにもなってた。




「圭吾ぉーっ」


「あ、善矢たちも来た」


「ただいま〜」


「陽奈、おかえり」




陽奈は高校をやめた後、善矢たちと同じ定時制の学校に通い始めて




「陽奈ちゃん頭良すぎ!オレ年上なのに点数ぼろ負けだった」


「でも大丈夫だよ、善矢くん。先生ちゃんと卒業できるって言ってたし」


「陽奈、安易な慰めはやめとけって。卒業しても就職が無かったら同じことだろ」


「このやろぉ〜、圭吾‼︎」


「そういえば茜は?」




茜は今年から美容師を目指す専門学校に入るんだって、音楽以外のことでもいろいろ忙しいらしい。




「でも今日の打ち上げにはちゃんと来るって。飲みまくってやるぅ〜って、あいつ一人で盛り上がってたぞ」


「あれ…?でも茜もまだ未成年じゃなかったっけ」