―――省吾side―――
好きな彼女を悩ませたい男なんていない。
陽奈が圭吾に、特別な感情を持って接したんだとも思ってないよ。
例えばその相手が、圭吾じゃなかったら
オレは別に、ここまで考え込んだりはしなかったと思うんだ。
「省吾せんぱぁ〜い」
「あれ、春乃ちゃん。なに?」
陽奈がどんな奴にも優しくて、気遣って。ちょっと外れた奴がいれば、放っとけない性格だってことくらい知ってる。
だからオレだって、そんな陽奈に惹かれたんだから。
「それでぇ、先輩の弟の圭吾くん?私は近づかない方がいいって注意したんだけど、陽奈ってばそういう人がいたらすぐに構おうとする性格じゃないですか。だからやたら彼を陽奈が気にかけようとするのが心配で。
しつこく絡んでくるからって、いきなり暴力振るわれるようなことはないですよね。あ、別に先輩の弟さんがそんな人だと思ってるわけじゃなくて……」
「いや…大丈夫だよ。教えてくれてありがとう。圭吾はそんな奴じゃないけど、何があるか分からないし。陽奈にはオレから話しとくから」
「良かったぁ〜。あ、先輩。このこと私から聞いたって言わないでくださいね」
「うん、わかってるよ…」
入学して来た頃からずっと見てた。
明るくて、優しくて、いつもみんなの輪の中にいて。
肩にかかる細い髪も、子供みたいにはしゃぐ無邪気な笑い声にも。
全部に心が揺れたんだ。
柄にもなく告白だなんて、正直プライドが許さない感じもしたけど
誰にも奪われてしまわないように、少しでも早く自分のものにしたかった。

