恋するキオク





陽が昇り、木の葉が風に揺れ

一日という時間は、オレたちの気持ちになんて関係なく進んでいく。



最後の調整とか、音合わせだとか、そんなプロのような準備はいらない。

その日オレはピアノの蓋を開くこともなく、ただその椅子に座りながら時の流れを感じていた。


用意してきた曲も、今さら確認する必要もなくて

その時になれば、オレの中からはすべてが想いのままに溢れていくんだろう。




劇の最後に流すはずだった、オレの弱さが表れてた曲。

それは先を諦めるような、希望も何も感じられない絶望的な曲だった。


でもそれも、オレの本当の姿の一部で…

もう、隠す必要もないんだ。




そして出逢った頃からの想いを込めた、伝えたい感情の曲。

オレがどんな態度をとっても、冷たい言葉を投げかけても

いつも野崎は、ちゃんとそれを受け止めてくれて…


オレに、笑ってくれたよな。

オレのために
泣いてくれたよな。




そして許されるなら、未来を夢見た曲も聴かせたい。


もしも…いつか……

そんなあやふやなイメージばかりが重なった曲かもしれないけど

あの頃感じてた気持ちと同じで、見えない未来だからこそ、夢を見られると思うから。

たくさんの景色を、描けるんだと思うから。




ずっと続いていく光のように、オレたちには消せない想いがある。

タイトルはもう決まってるけど



夢が実現したら、そっと伝えるよ。