恋するキオク




陽奈は何を思っただろう。

動揺した?困った?

そんなのオレだって同じこと。



いきなりそんなこと言われたって、オレたちはまだ高校生だ。

いや、本当はそんなことより……




「ちゃんとゆっくり話をしよう」


「……うん」




陽奈はまだ気付いていない、大切なこと。

それを伝えるべきかどうかを、オレは一番に悩んでいた。



なぜなら……

伝えてしまえば、陽奈は確実に、オレから離れていくから。




「陽奈、今は深く考えすぎるなって」


「……」




陽奈がいなくなったら、オレには何が残るんだろう。

今のままじゃ、まともにピアノも弾けないし。

その他に欲しいものなんて……



「陽奈…」



沈んでいく陽奈の表情。


圭吾、お前ならどうする?

オレと同じ状況で、それでも陽奈を手放したくないんだとしたら

お前なら、どんな答えを出すんだ。






それから数日。

気がつけばオレは、圭吾のいるあの店へと足を運んでいた。

たぶんもう、オレたちはこのままじゃ終われない。

誰かが傷つくとしても、悲しい思いをするとしても、一つの結果を導きださなければ進めない。



でもその道は、きっともう決められてるんだろう。

変わることも、ないんだと思う。

それでもオレたちは、これからのオレたちのために、ちゃんと決着を付けるべきなんだ。




「圭吾…、お前陽奈が好きなの?」




お前の真剣な目、オレにだってしっかり伝わってるよ。

だからこそ、最後に本気でぶつかり合いたいと思った。



なるべく陽奈にとって、辛い結果にならないようにって、そう考えてるけど

わからない。

どうなるかなんて、その時のオレと圭吾次第だから。



でもオレは、いやたぶん圭吾だって、それを理解しながら向かい合うんだと思う。



だから陽奈も、その覚悟だけは、ちゃんと心に決めててよ。