恋するキオク




でも全然、そんなこともホントは関係なかったんだってことが、もうわかったんだ。



たとえばそれが、野崎の願うこととは違ってたとしても

それが一生曲げることなんてできない、決められた未来なんだとしても




「変わらない…。それでもオレの気持ちはもう変えられないから」


「圭…吾……」


「……オレ、お前が好きだよ。たぶんこの先もずっと、お前が省吾とどんな先を歩いていくんだとしても。…きっと想い続ける。お前が辛い思いをしないように、ずっと見守ってるから」




それが今のオレにできることで、オレに許されることでもあると思うんだ。




「だからよく聞いて。そしてよく考えろ。お前はお前のことを一番に考えないといけない。…大事にしてほしい、なるべく傷つかないような道を選んでほしい」


「…っく、ぅ…」




怖くても大丈夫。

何があってもオレがいるから。

オレは絶対近くにいるから。


だから…




「それでももし、お前がオレを必要とするなら……オレは必ずお前を迎えにいく。待ってくれるなら、いつだって飛んで行く。だから…それだけは信じてて」




それを感じることで、少しでも野崎が安心してくれたら

オレはそれだけで十分だよ。




「それだけだから。じゃあな」


「……圭っ」






通話終了のボタンを押すと、一気に夜が戻ってくる。

オレは目を閉じながら大きく息を吸って、それからまた、店へと戻る道を歩き始めた。



全部言えた。

思い残すことはもう何もない。



そんな小さな満足感と、それでも同じ結果が待ってるという切なさに

胸をぎゅっと掴まれるような感覚で、にじむ夜空に想いを馳せた。