恋するキオク




どうして、あんなことに……



ほんの短い時間の出来事だけど、私の頭の中には過去の光景が浮かんだ。

でも、その内容を省吾に話すことなんて、とてもできなくて。



「……やっぱり今日、病院へ寄って帰ろうか。オレも一緒に行くから」


「ううん、ホントに大丈夫だから」


「だーめ!オレにとっても陽奈の身体は大切なの。こんな状態になるのに、放っとけないだろ」


「…………」



そう強めに言った後の
柔らかい笑顔。



ねぇ…、省吾はいつでも優しかったんじゃないの?

その笑顔で、いつも私を守ってくれてたんじゃないの?



私が米倉くんを好きになったせいで、何かが変わってしまったの……?






結局、半分無理矢理に連れて行かれることになった病院。

半月に一回の検診ももうすぐだったから、ついでと言ってしまえばそんな感じなんだけど。



「うーん…、どこか神経のバランスが崩れてるのかもしれないね。今日は少しいろいろと検査してみようか」


「はい…」



いつもは問診だけで済んだのに、面倒なことになっちゃったな。



検査の間も、ずっと隣に付き添ってくれる省吾。

時々伺うように私を見て、不安そうにすれば、肩をぐっと抱き寄せてくれて。



なんだか、複雑だよ……。





「野崎さん、どうぞ」


「あ、はい…」



名前を呼ばれて、一通りの検査を終えた私は診察室に入る。

振り返った先生が、難しい顔で私と省吾を眺めた。