でも、やっぱりそんなに簡単なことじゃないのかな。
「陽奈っ」
「省吾…」
受験勉強が忙しいらしくて、二学期に入ってからは会えない日が多くなってるけど
いつもの優しさで、時々私の教室には顔を出してくれる省吾。
「身体の調子どう?」
「うん、平気」
「半月に一回の通院はあっても、自律神経の乱れで体調は崩しやすくなってるんだから。なんでも無理はするなよ」
「わかってるよ。ありがとう、省吾」
それだけを伝えて、また自分の校舎へと戻っていく。
私は、どうしてこんなに優しい省吾がいるのに、米倉くんを好きになったんだろう。
省吾と付き合っていながら、密かに米倉くんを想ってたなんて…
いったい、どんなにたくさんの出来事があったんだろうって。
気になって…
米倉くんのことを考えると、すべてを思い出したくて。
「ーっ……」
なんか…、
辛くなっ……
「ちょっと野崎さんっ!どうしたの?大丈夫!?」
「えっ…、陽奈!」
気分が悪くなって倒れた私を、教室へ戻ろうとしてた省吾が慌てて振り返った。
駆け寄って来て、そのまま私の身体を抱き上げてくれる。
「だから言ってるだろ。今保健室に運んでやるから」
「うん…、ごめ、ん」
少し揺れるけど、暖かい、力強い腕の中。
省吾…、
省吾はすごく優しいのに、私は多分、ずっと米倉くんを追いかけてた。
どうして……?

