恋するキオク





ふぁ…ぅ…



読み始めると、ついつい夢中になってしまって。

夜更かしした翌日は、お昼前の授業中にもこっそりあくびが出てしまう。



想いを告げ合うわけでもなく、それでも心のどこかで惹かれ合っていた二人が、選んだそれぞれの道。

その結果は悲しくもあり、美しくもあり、永遠の切なさでもあった。



いつかもう一度出逢うこと。

でもそんなこと、命を含めたすべてを失ってから願ったって、どうしようもないことだとも思ってた。


生まれ変わった時なんて、もう全部忘れちゃってるはずだもん。

どんなに深い想いがあったとしても、どんなに強い繋がりがあったとしても…、覚えてるはずが無い。

消えてしまったものを戻すなんて、そんなに簡単なわけないんだ。



私の記憶だって同じ。

そう思い通りには…




……私と、同じ……?




「野崎さん、休み時間まで真剣に何読んでるの?」


「…牧野さん」


「授業中もあくびしてたでしょ?」


「うぁ〜、見られてたんだね。
実は借りた本なんだけど…。ほら、私が劇で演じたっていう物語。読み始めたら止まらなくって」



私が苦笑いで見上げると、牧野さんは空いていた前の席のいすを引いた。

机の向かい側から本の表紙を覗き込んで、それから小さくため息をつく。



「……もしかして、思い出そうとしてるの?」


「ううん…、そうじゃないけど。
でも不思議なんだ。これを読んでるとね、まるで周りの景色が見えてくるみたいに世界に入り込んじゃう。…でも、こんな結果になりながらも、無意味に近い願いを抱いた二人の気持ちがわからなくて…」



だって、普通なら諦めるでしょ?

それが運命だったからって、もう何を願うこともやめるでしょ?

それなのにどうして…



「信じてたからでしょ」


「えっ…?」


「何度消されたって、たくさんのものを失ったって、想い合った気持ちだけはお互い忘れるわけがないって……、そう信じてたからでしょ」


「牧野さん…」