何度も歩いたような気がする公園通りを抜けて、小さな音楽店はひっそりとたたずむ。
いつ預けたのか
もう直ってるのか。
お小遣いで足りるような修理だったのかも、ちょっと不安だった。
カラン…
「あのぉ、こんにちわ…」
でもお店のおじさんは、ほんわかと優しそうな人で
「は、ぉ!い…いらっしゃい」
二階から下りてきたと思ったら、目が合った瞬間にせかせかと近づいてきてくれた。
「すみません。野崎陽奈っていうんですけど…、あの、引き換えの紙とか無くしちゃって」
「…大丈夫だよ。大事なフルート、ちゃんと直ってるから」
よかった…
私が笑顔を見せると、おじさんもそれを受けるように笑ってくれる。
「久しぶりだね、陽奈ちゃん」
「えっ…」
なに…?
そんなふうに呼ばれてたの?
普通のお客さんに呼ぶような感じじゃないことに驚いて、私は少し黙ってしまった。
もちろん楽器を預けてたんだから、何度か来たことはあるんだろうけど。
「あ…、省吾とよく来てました?」
きっとそういうことなんだろうと思って、遠慮がちに聞いてみる。
「え、ぅ…ん…。そうだね」
おじさんは静かな天井を見上げながら、何度かうなずいた。
省吾は音楽が本当に好きだから、ここによく来てたことも想像できるし
それに、その他に理由なんて…
「それとごめんなさい。金額もわからないので…。もしかして足りなかったら今度でもいいですか?」
「……」
「あの…」
「あ、いや、ごめん。それはいつでもいいんだ…」
なぜかじっと見つめられる。
まるで、何年かぶりに再会した親子みたい。
「陽奈ちゃん、少し時間いい?」
「…?はい、大丈夫ですけど」

