恋するキオク



拾ってきてくれた内履きは、少し汚れもあったけど

私は佐渡さんにお礼を言った。



「助かった、ありがとう。それと…この前はごめんね。竹田くんとの劇のこと」


「別に野崎さんが悪いわけじゃないでしょ」


「うん、そうだけど。いろんな人の気持ちとか、あまり考えてなかった」



私の中にはいろんな思いがあった。

だからなんとなく、佐渡さんだけにじゃない気持ちで謝ってしまった。

そんな私の前で、佐渡さんは大きく空を見上げる。



「私は米倉兄派でも弟派でもないからどうでもいいんだけど。
ちゃんとはっきりしといた方がいいんじゃないかな」


「え…あ、うん。そうだね」



佐渡さんにまでそんなこと言われるとは思わなかった。

でも、言い方は優しい。



「周りのことなんて後回しでいいじゃない。だから私だって、あなたのクラスの都合無視して自分の気持ち押し通したんだもん。京介が好きだから、絶対譲れなかった。そういうもんでしょ」


「好きだから…?」



その気持ちと行動が、あまりにもストレートで。

佐渡さんの言葉に、私はなんだか胸が熱くなった。


ドキドキして。

なにか気持ちが騒いで。



「自分のこと一番に考えたらいいと思う。その次に好きな人のこと考えてさ。周りがなんて言ったって関係ないよ」



ホントに…いいのかな



「私はね、好きだったら何でもできちゃうの。誰に恨まれたって平気。京介が側にいてくれるなら何があっても頑張れるもの。
本気になったら、周りなんて見えないよ。…野崎さんはちがうの?」



私は…

私は圭吾が好き。

誰がどんな文句言ったって、もう絶対変えられない。



だから

圭吾のことだけ考えていいの?