恋するキオク




一限目の体育。

着替えを抱えて更衣室に移動する子たちを見送れば、そこに自分の運動靴がないことにも気づいた。



持って帰った…わけがない。



ドクン、ドクン…


気分が悪くなるような振動が、足下にズンと響いて。

立ってる力さえ、奪われて。



…何?……なんなの?



フラフラと教室を出た私は、隣のクラスへと春乃を探しに行った。

送ってもらったお礼もきっと言えてなかったと思うし、この状態を聞いてもらいたかったし…



「春乃ちゃん、休みだけどぉ?」



でもこの日は、
春乃の姿も見えなくて。



「クスクス…」

「ばかみたい」



周りの視線と一緒に感じる突き刺さるような声も、今自分の置かれてる立場も、よく分からなかった。



いったい、どうなってるの…?

圭吾…、圭吾はまだ来ない?



そのまま屋上への階段を上る私。

とりあえず落ち着こう、そう思って扉を開けたはずなのに

澄んだ青空の下に立った瞬間、全身の力が抜けた。



「な…んだろ…」



入り口のすぐ側に座り込んで、ただ呆然と宙を見る。

完全に、避けられてた。

ううん、何か恨まれてる?

無くなってるものは、たぶん誰かに何かされたんだと思う。

みんなの態度、絶対おかしいし。



「どうしよう…」



このままここにいれば、呼び出されなくても圭吾が来てくれるはず。


私はそう思って、体育の授業には出なかった。



圭吾が昨日話そうとしたこと、それがこのことなのかは分からないけど

早く会って、
声を聞かせてほしくて。



「ほんとに…わかんないよ…」





バタン…

…!



屋上の扉が開く音に、すぐに立ち上がって振り返る。



圭吾?