恋するキオク




聞きたかった圭吾の声。


それをたった一言聞いただけで、細身の体になんか入り切らないくらい、私の想いはいっぱいになる。

薄いロングTシャツの袖口で、溢れそうになる涙をぐっと拭きながら

私は必死になって口を開いた。



「圭吾〜……なん、で…っ」


「は?なんでって、お前が休んでるからだろ。…何、また泣いてんの?よく泣く奴だなぁ」



呆れたように話す圭吾の言葉が、胸に響いて鼓動を強く早くする。

そんなこと言ったって、心は勝手に反応しちゃうんだから仕方ない。



名簿で調べたんだと言って学校からかけて来てくれた圭吾は、今日もちゃんと朝からイベントに出てたみたいで。

どんなふうに、誰と行動していたのかが気になる私の気持ちを察するように、ひとつひとつの出来事を伝えてくれた。



「で、結果は審査員特別賞って感じ。みんな喜んでたよ。オレにとっては意外だったけど」


「意外?」


「あー…、なんか省吾がうちのクラスのこと賞に推したらしいから。表彰の時にそんなこと言ってた。ありえないだろ?」


「う、ん……」



たしかにそうだ。

省吾が私たちを高く評価するなんて、何を思ってそんなこと…

私と圭吾のことを考えたら、賞どころか点数さえも付けてもらえない感じなのに。



「しかもその時に……。まぁいいや、それは明日にでも話すから」


「…なに?」


「だから明日話すって。今日はゆっくり休んどけよ」



話の先は気になる。

でもそんなことより、圭吾とのこの時間を、もっと延ばしたくて仕方なかった。



「圭吾…」


「何?」


「会いたいよ」


「……うん」





しばらく続いた静かな時間。

そんな沈黙の時間さえ
愛しく感じる。



受話器の向こうから聞こえてくる圭吾の呼吸にまで、どんどん惹かれていって。

ずっと、繋がっていたくて。