恋するキオク




それからお昼まで部屋にこもっていた私は、少しだけ食事を取ったあとに着替えを済ませた。

イベントの練習で疲れてたんだろうと、家族は病院に行くことを勧めては来なかったけど

なんとなくすっきりしない感じは、なかなか消えなかった。



「結果どうだったかなぁ。ひょっとして、賞なんかもらってたりしてね」



圭吾は今日も、学校に行っただろうか。

またクラスの女の子たちと一緒に、いろんなところを回ってるんだろうか。



自分がいない時の学校には、行ってほしくないとも思ってしまう欲張りな気持ち。



好きになると、全部が知りたくて。

私の知らない時間なんて、作ってほしくなくて。

なんだか、すごくワガママ。



「携帯の番号とか、聞いておけば良かったな…」



声が…聞きたい…。

圭吾の声が、今すぐ聞きたいよ。



私は窓から見える景色を眺めながら、深くため息をついた。

すると




「陽奈〜、陽奈〜」


「…?」



一階から呼ぶお母さんの声で、ふと顔を上げる。

少し足早に階段を上がってくる音。



もしかして…

もしかして…



「陽奈、お友達から電話よ」



私の気持ち、通じちゃったの?



私は震える手で
受話器を受け取った。



「もしもし…?」


「あ、オレ。……圭吾」


「け…いごっ…」




ばか…

また、泣いちゃうじゃん…